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会社、ホントに継ぎますか?

 ある日相談に来られた社長と後継者、「息子に社長を継ぎたいが、何から取り掛かったらいいですか?」と、よく受ける相談です。後継者もヤル気満々だったりします。

 事業承継の相談では、事業内容や後継者の仕事の内容、家族関係をお聴きしながら、2期から3期分の決算書も拝見します。その会社は、3期前の決算書から、ずっと債務超過(純資産の部がマイナス)で売上高を超える長期借入金、当然のごとく社長の個人保証付き...。

 

 あえて後継者にお聞きします「このままホントに会社を継ぎますか?

 

 国の調査結果を見ると国内企業の3分の2が赤字(国税庁集計による「普通法人」の令和3年度欠損企業66.3%)、また3分の1が債務超過状態とのことですから、決して珍しいことではありません。

 また後継者がおられることは、企業にとっても、そこで働く従業員の雇用継続の面でも大変喜ばしいことです。

 ただ、問題はその程度です。

 

◇後継者と一緒に中期事業計画の再整理

 事業承継は社長交代の「段取り」やスケジュールを整理するだけではありません。後継者に経営の理解を促し育成するためにも、現在の事業の問題点を洗い出し、会社の将来ビジョンをともに考え、3~5年間の中期事業計画をぜひとも作成してください。

 その点で、事業承継は自社の事業の棚卸しを行う良い機会です。

 

◇経営を改善し道筋をつけるのは現経営者の責任

 事業承継を機会に後継者が経営の抜本的な改革を行う、経営革新のチャンスという話をされることが、よくあります。

ただ、どうでしょうか?

これまで社長の経験がない後継者が、いきなり事業の大きな転換を図ろうとして、社内や取引先の理解が得られるでしょうか。そもそも事業の転換は、強いリーダーシップのもと、社内が一丸となって初めて成功するかどうかというものです。

経営を抜本的に改革して後継者に引継ぐのであれば、まずは現経営者が本気で取り組み、その道筋をつけていかなければいけません。

 

◇そのうえで、経営を引き継ぐかどうかの判断を

 先代の社長が急に亡くなって引き継いだけれど、慢性の赤字経営と多額の借入金で苦労している会社もあります。一方で、確かに数億円の借入金を後継者が頑張って返済し成長軌道に乗せた会社があるのも確かです。

  社長交代まで一定の猶予を持ち、予め後継者と一緒に現状の問題点を洗い出し、長期に継続できるか、その判断によっては、残念ながら後継者への引継ぎ以外、事業売却や廃業といった選択肢も考えましょう。