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後継者が若く頼りないが大丈夫か

 前回テーマに取り上げた「高齢の社長が辞めない」という後継者からの相談の裏返しで、「うちの息子は若いし、まだ後継者として頼りない」といった社長からの声もよく聞きます。特に創業社長や経営に厳しい社長ほど、後継者を見る目は厳しいのかもしれません。また息子や娘だと、親の立場から見ると、まだまだ頼りないと見えてしまいます。

果たして本当に社長が務まらないのでしょうか?

 

多くの場合が、「ただ漠然と頼りない」、「自分と比べてまだまだ、経験が足りない」といった話で、不足する能力や仕事のやり方など「具体的にどういったところが頼りないのか」については明確な回答が無い場合が多いです。

ご自身で今の事業を始めたくて会社を興した社長、数10年も経営してきた社長に比べれば後継者は頼りなく見えるものです。

確かに、あまり若すぎては社内外の見方もあり問題ですが、少なくとも30代になれば、社長は務まると思います。立場が人間を育てるもの。早めに責任ある立場に据えて、社長が後見人としてサポートすることも考えましょう。

コンサルタントや取引金融機関といった第三者の意見を聞いてみることもお勧めします。

 

ただし、これまで様々な後継者ともお会いする中で、逆に社長は引き継ぎたいと言っていても、すぐに経営者は難しそうな方もおられます

自分の主張だけ言って社長やコンサルタントの意見を全く聴こうとしない人、

逆に、相談に同席しても話をするのは社長だけで、質問してもなかなかハッキリとした答えが返ってこない人、

社内で同僚や部下の意見を聴かず、自分の主張を繰り返す人 などなど

 

 そうした後継者に対しては、やはり改めて教育が必要です。

 社長から日常業務を通じて教えていく、外部の研修やセミナーに派遣する、異業種交流会などに参加して他の会社の話を聴いたり人間関係を養う、などなど方法はいろいろとあります。

 さらに、お勧めしているのは、やはり自社の実態をキチンと把握し中期の事業計画を作る作業を通じて意識と知識を高めることが一番有効です。社内の幹部社員がおられれば、一緒に検討を行うことによってコミュニケーション力やリーダーシップも高まります。

 まずは、足元の自分が担当している仕事の問題点から書き出させることから始めます。

 

経営者として重要なのは「先を読む力」や「決断する力」が挙げられることも多いですが、まずは「受容する力」や「コミュニケーション力」、人の意見に耳を傾けたり引き出したりする力や態度、必要と判断すれば、その意見を素直に受入れる柔軟な力が重要だと思います。 

そのうえで、経営管理や資金繰りといった知識や能力が必要ですが、最低限の知識を備えれば、あとは立場が人を育てることを期待しましょう。

 

元気なうちに、社長はサポート役に徹して育てていってください